StageVivo

2026年7月23日

ウェビナーの「音が悪い」を防ぐ。マイクの使い方と配信側の自動処理

音質マイク配信準備

配信のリハーサルで、主催者が入念に確かめるのは映像のほうだ。スライドの文字は読めるか、カメラ映りは暗くないか、背景に余計なものが映っていないか。音の確認はといえば、「聞こえますか」に「聞こえます」が返ってきたら終わりになる。ところが、視聴者が黙って去る原因として手強いのは、映像の粗さよりも音だ。この記事では、その理由を確かめたうえで、「音が悪い」を当日に起こさないための分担を整理する。分担は2つ、人がマイクの手前でやる準備と、配信側が自動で整えられる部分である。

なぜ音のほうが致命的なのか

ウェビナーで伝えている情報の本体は、実は音声にある。スライドが多少ぼやけても、声が明瞭なら話は伝わる。逆に、映像がどれだけ鮮明でも、声が聞き取れなければセミナーとして成立しない。音声だけの媒体(ラジオやポッドキャスト)が成立するのに、無音の講義映像が成立しないのはこのためだ。

もう1つ、視聴者の側に逃げ場の差がある。見づらい映像からは目を離して、音だけ聞き続けることができる。だが耳障りな音から逃げる方法は、視聴をやめる以外にない。しかも音への不満は主催者に届きにくい。「音が割れています」とチャットに書き込んでくれる視聴者は一部で、多くは何も言わずにタブを閉じるだろう。主催者が映像ばかり確認してしまうのは、映像は自分の目で確かめられるのに、視聴者に届いている音は自分の耳では確かめにくいからでもある。

「音が悪い」の分解

一口に「音が悪い」と言っても、中身は別々の現象だ。

  • 声が遠い:マイクと口の距離が離れていて、声よりも部屋の反響を多く拾っている。ノートPCの内蔵マイクで起きやすい。
  • 環境ノイズ:エアコン、換気扇、キーボードの打鍵音、屋外の音。本人は慣れて気づかないが、視聴者には終始聞こえている。
  • 音量のばらつき:話者が動いてマイクとの距離が変わる、話に抑揚がつく、といった理由で音量が上下する。視聴者は手元の音量調整を繰り返すことになる。
  • BGMと声の被り:待機画面や休憩中のBGMが声に対して大きすぎる、あるいは本編中に敷いたBGMが声を埋める。
  • 音割れ:マイクへの入力が大きすぎて音がひずむ。ひずんだ音は情報そのものが壊れていて、後からは戻せない。

この分解が要るのは、直せる場所がそれぞれ違うからだ。マイクの手前でしか直らないものと、配信側で機械的に整えられるものがある。

当日までにマイクの手前でやること

音質にいちばん効くのは、機材の値段ではなくマイクと口の距離だ。距離が離れるほどマイクに入る声は小さくなり、代わりに部屋の反響とノイズの割合が増える。内蔵マイクの声が遠く聞こえるのは性能の問題というより、口から画面までの距離をそのまま拾っているからだ。ヘッドセットやピンマイクのように口元へ固定できるマイクにするだけで、「声が遠い」と、距離の変動による音量のばらつきは手前で消える。

部屋と環境も音に入る。壁がむき出しで物の少ない会議室は反響が強く、布や本棚のある部屋のほうが声は締まって聞こえる。エアコンや換気扇の音は自分の耳が慣れてしまっているので、配信前に一度、意識して耳を澄ます。通知音は必ず切る。マイクが拾った通知音は、視聴者全員に届く。

最後に、リハーサルは視聴者の側で聞く。配信者側の画面ではなく、別の端末で実際の視聴ページを開き、届いている音を自分の耳で確かめる。ここまでが人の仕事で、目的は1つに尽きる。近くて、静かで、割れていない声をマイクに入れることだ。

配信側で自動的に整えられるもの

マイクに入ったあとの調整は、機械のほうが得意だ。StageVivoは、マイクの音を配信側で自動的に整える。耳障りな帯域を抑え、音量のばらつきを揃え、環境ノイズを抑え、BGMと声の音量バランスを取り、配信全体のラウドネスを一定に保つ。前節の分解でいえば、環境ノイズ、音量のばらつき、BGMの被りは、この自動処理の受け持ちになる。マイクの入力レベルは配信前の準備画面で目で見て確認できるので、割れるほど大きい入力には、配信を始める前に気づける。

ただし、自動処理は魔法ではない。整えられるのはマイクが拾った音だけで、遠くて反響だらけの声を近い声に作り直すことはできないし、ひずんで壊れた音を元に戻すこともできない。だから分担はこうなる。人がやるのは、良い音をマイクに入れるところまで。機械がやるのは、入った音を聞きやすく揃えるところから。前節の準備が済んでいれば、そこから先は任せてよい。

配信当日に確かめる3つのこと

  • マイクは口元にあるか(内蔵マイクしかないなら、せめて画面との距離を詰める)
  • 準備画面の入力レベルは、大きな声を出しても振り切れていないか
  • 別の端末で視聴ページを開き、届いている音を自分の耳で聞いたか

カメラ映りの確認にかけていた時間の半分を、この3つに回すだけでいい。視聴者は多少暗い映像には付き合ってくれるが、聞き取れない声には付き合ってくれない。


音の自動処理を含む配信まわりの機能は機能一覧にまとまっている。